SDGs研修体験記inバリ島 第4回「システムチェンジとリジェネラティブ」
2024年2月にプライベートでインドネシアのバリ島へ渡航し、「SDGsのその先」を学ぶための研修に参加した職員がいます。その体験を「バリ島SDGs研修体験記」として、全4回で紹介をさせていただきます。
新しい場所で新しい体験をし続けた1週間。SDGsのその先に何が見えたのか。NPOに勤務する私たちの成長のヒントとなり、地域や地域の皆様にも還元できる学びの共有となれば幸いです。
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SDGs研修体験記 in バリ島
目次
第1回「トリヒタカラナとローカルヒーロー」
第2回「バリ島のごみ問題とサーキュラーエコノミー」
第3回「ホームステイで体感した“SDGsのその先”」
✅第4回「システムチェンジとリジェネラティブ」
第2回「バリ島のごみ問題とサーキュラーエコノミー」
第3回「ホームステイで体感した“SDGsのその先”」
✅第4回「システムチェンジとリジェネラティブ」
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第4回「システムチェンジとリジェネラティブ」
バリ島での研修旅行の締めくくりとして、次世代のエコホテル Mana Earthly Paradise での滞在を振り返ります。SDGsを超えた、新たな可能性を示唆するこのホテルの在り方は、私たちのNPO法人の理念——「ひとり一人の自立をめざし、地域に笑顔の花を咲かせたい」にも通じるものがありました。
次世代のエコホテル——Mana Earthly Paradise
バリ島ウブドに位置する Mana Earthly Paradise は、単なるエコホテルではありません。それは、 持続可能な(サステナブル)だけでなく、環境を再生する(リジェネラティブ) という新たな価値観を具現化した場所です。特徴的なのは、徹底した環境負荷の低減と地域経済への貢献でした。
建築:伝統的な竹やアースバッグ(地球の土を使った建材)を用いた建物は、コンクリートに比べてCO₂排出量が極めて少なく、自然と調和したデザインになっています。
エネルギー:太陽光発電を導入し、ホテル全体のエネルギーを自給。化石燃料に頼らない運営を実現しています。
水資源の循環:雨水の貯水とろ過、バイオ浄化システムによる排水処理を採用。無駄のない水利用が可能に。
食と地域経済:ホテル内のレストランでは、オーガニック農園で育てられた地元食材を使用。輸入食材を極力排除し、地域経済の活性化に貢献しています。
このように Mana Earthly Paradise は、単なる「環境に優しい宿泊施設」ではなく、地域と共に成長し、環境をより良くしていく「再生型の拠点」として機能してます。
濾過した雨水が宿泊施設の飲み水となる
サステナブルとリジェネラティブの違い
私たちは、ここ数年でサステナブルという言葉をよく耳にするようになりました。しかし、Mana Earthly Paradise は リジェネラティブ(再生型)な取り組み を行っています。
サステナブルな考え方は、「現状を維持し、環境負荷を減らす」ことを目的とします。一方で、リジェネラティブなアプローチは 「積極的に環境や社会をより良い状態へと回復させる」 ことを目指します。
例えば、Mana Earthly Paradise の農園は、単に無農薬で作物を育てるだけでなく、 土壌の健康を回復させ、生物多様性を促進する ように設計されています。これは、従来のサステナブルな農業よりもさらに一歩進んだ考え方です。
提供されるオーガニックビュッフェには、在来種のタネがパーマカルチャーで育てた食材が提供されている
システムチェンジ——社会のあり方を変える
Mana Earthly Paradise の取り組みは、単なる環境に優しいホテルの枠を超えています。それは、システムそのものを変革しようとする試み でもあります。
現代社会の多くのシステムは、大量生産・大量消費を前提に構築されています。しかし、Mana Earthly Paradise は地域と共生しながら、循環型のシステムをつくるという新しい価値観を体現しています。
バリ島での滞在を通じて、サステナビリティを超え、リジェネラティブの可能性を体感しました。それは単に環境に優しいことではなく、社会のシステムそのものを変革し、地域と共に成長していくという新たなアプローチです。
私たちのNPO法人が目指すのも、単なる支援ではなく、人々が主体的に生き、地域全体が笑顔になれる社会の実現です。そのためには、サステナブルの一歩先を考え、システムチェンジに向けた取り組みを進めることが不可欠なのかもしれません。
「SDGsのその先」を見据え、私たちも社会のあり方そのものを変える挑戦を続けていきたいと思います。執筆:訪問看護部
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